誰も教えてくれない、退職金の大事なお話【看護師・自己都合退職】

お金・家計

退職を決めてから、気になりだしたこと

退職を考えはじめると、いろいろなことが頭をよぎります。

次の仕事どうしよう、生活費は持つだろうか。そのなかで、意外と後回しになりがちなのが退職金です。

「なんとなくもらえるらしいけど、いくらかよくわからない」

そんな人、多いんじゃないでしょうか。私もそうでした。

この記事では、自分の退職金をざっくり計算する方法をできるだけわかりやすく説明します。難しい話は省いて、「自分はだいたいこのくらいかな」がつかめることを目標にします。

※この記事は自己都合退職(自分から辞める場合)が対象です。定年退職は計算方法が異なります。
※税金・退職所得控除については別の記事で解説します。


まず確認:あなたの職場はどっち?

退職金の計算方法は、職場の種類によって大きく2つに分かれます。

種類主な例
公立・公的な病院都道府県立・市立・国立系・独立行政法人系など
私立病院・医療法人など民間の総合病院・クリニック・介護施設など

給与明細や雇用契約書、または職場の人事に確認してみてください。ここが違うと計算式が全然変わります。


公立・公的な病院の場合

計算式はシンプルです。

退職金 = 月給 × 支給率

「支給率」は勤続年数によって決まっています。自己都合退職の目安はこちら。

勤続年数支給率月給25万円月給28万円月給30万円
5年3.075万円84万円90万円
10年6.0150万円168万円180万円
15年12.4310万円347万円372万円
19年19.7493万円552万円591万円
20年23.5588万円658万円705万円

※支給率は参考値です。勤務先の規定によって異なります。


私立病院・医療法人の場合

計算式はこちら。

退職金 = 基本給 × 勤続年数 × 支給率

支給率は施設ごとに就業規則で決まっています。確認できない場合は、とりあえず1.0で計算するとざっくりした目安になります。

勤続年数基本給20万円基本給25万円基本給30万円
5年100万円125万円150万円
10年200万円250万円300万円
15年300万円375万円450万円
20年400万円500万円600万円

※支給率1.0で計算した場合の参考値です。

「基本給」と「月給(手取り)」は別物です。
夜勤手当・各種手当を含まない金額が基本給です。給与明細の「基本給」の欄を確認してください。


育休をとった人は、計算が少し変わります

育休を取得した期間は、施設によって退職金の計算に影響することがあります。

職場の種類育休の扱い
公立・公的な病院(国家公務員準拠)育休期間の一部が控除される(1歳まで1/3、以降1/2など)
私立病院・医療法人就業規則による(算入・不算入・1/2控除などまちまち)

たとえば育休を1人につき1年、2人分で合計2年とった場合、控除後の実質的な勤続年数は約1年ほど短くなることもあります。

ちなみに、女性の育休取得期間は現在も平均1年前後(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。2人産んだ看護師なら、2年分の控除を念頭に計算しておくと安心です。

正確な計算は就業規則か人事部門に確認するのが確実ですが、「思ったより少し短くカウントされることがある」とだけ覚えておいてください。


勤続20年は、別格です

退職金は10年・15年と節目ごとに増えていきます。でも、20年だけは増え方がまったく違います。

月給30万円の場合、各節目の「1年あたりの増加額」を比べてみます。

期間1年あたりの増加額
5年→10年約18万円/年
10年→15年約38万円/年
15年→19年約55万円/年
19年→20年約114万円/年

19年から20年の1年間だけで、他の年の2倍以上増えます。

これは単純に年数が増えたからではありません。勤続20年を超えると、自己都合退職に適用されていた減額ルールがなくなるという制度上の切り替わりがあるためです。

月給勤続19年勤続20年差額
25万円約493万円約588万円+約95万円
28万円約552万円約658万円+約106万円
30万円約591万円約705万円+約114万円
32万円約631万円約752万円+約121万円

もし今、勤続19年で「そろそろ辞めようか」と迷っているなら、この数字は知っておいて損はありません。

あと1年で約100万円変わる。

1年を100万円と換算するかどうかは、あなた自身が決めることです。でも、知らずに辞めるのと、知ったうえで決めるのとでは、まったく意味が違います。


クリニックや小規模施設は要注意

クリニックや小さな施設では、退職金制度がそもそもない場合もあります。

転職・退職前に、就業規則や雇用契約書を確認しておくことをおすすめします。「あるもの」と思い込んでいると、あとで困ることがあります。


私自身の話

私は公的な病院に長年勤めました。育休も2回取得しています。

この記事を書いている時点では、退職金はまだ振り込まれていません。

計算上の見込み額はわかっていますが、実際にいくら手元に残るかは、退職所得控除や税金の計算も関わってきます。それについては、また別の記事で詳しく書きます。


まとめ

  • 公立・公的な病院 →「月給 × 支給率」
  • 私立病院 →「基本給 × 勤続年数 × 支給率」
  • 育休取得者は勤続年数が少し短くカウントされる場合がある
  • 退職金は10年・15年の節目ごとに増えるが、勤続20年だけは別格
  • 19年→20年の1年で約100万円増える。これは制度の切り替わりによるもの
  • クリニック・小規模施設は退職金制度がない場合もある

退職金の額だけで辞めるかどうかを決める必要はありません。ただ、「自分はだいたいこのくらいかな」という見通しがあるだけで、決断のときに少し楽になると思います。


参考


※本記事は2026年4月時点の一般的な情報をまとめたものです。制度は変わることがあります。実際の手続きは最新の公式情報をご確認ください。

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