看護師の転職活動、リアルな数字を見たら年収が200万下がった話

働き方

「転職すれば、もっといい環境で働けるかもしれない」

退職を考え始めたころ、私もそう思っていました。

上司に「退職したい」と伝えに行ったとき、頭の中には転職先のイメージがありました。転職して、環境を変えて、また頑張ればいい。そのくらいの気持ちでした。

でも実際に転職活動をしてみて、思い知ることになりました。

看護師の世界では、「ただ普通に働きたい」だけで、年収が200万円以上下がる。


まず転職エージェントに相談した

退職の意思を固めてから、まずやったことが転職エージェントへの登録でした。

担当者は連絡もこまめで、対応は誠実でした。「ここはどうですか?」と積極的に求人を提案してくれたし、条件が合わない職場を無理に勧めることもありませんでした。

転職エージェントは「転職させることで報酬を得る」仕組みと聞いたことがあります。だから、条件が合わなくてもとりあえず転職させようとするのでは、と少し警戒していました。でも実際は違いました。数字を正直に見せてくれて、「この条件では厳しい」とはっきり言ってくれる担当者でした。

一方で、求人サイトには「高収入」「残業少なめ」「年休120日以上」と魅力的なキャッチフレーズが並んでいます。でも実際の求人を見てみると、「え、この仕事でこの給料?」と思うものも少なくありませんでした。

また、登録した別の求人サイトからは、毎日のように大量の求人メールが届きました。正直、見る気が失せました。量が多すぎると、かえって情報として機能しなくなる。そういう経験もしました。


提示された求人の数字

実際に求人を探してもらって、見えてきた現実はこうでした。

  • 訪問看護ステーション(オンコール対応あり):年収400〜450万円
  • クリニック・日勤のみ:手取りは現職より大幅に下がる

私が退職前に受け取っていた年収は、夜勤込みで約600万円でした。

つまり、日勤に切り替えた瞬間に、年収200万円以上のダウンが待っていました。

数字を見たとき、正直びっくりしました。転職したら多少下がるかもしれない、くらいには思っていました。でも200万円以上とは。「ただ普通に働きたい」だけで、こんなにも変わるのかと。


エージェントにも「私だったら無理ですね」と言われた

転職活動を進める中で、担当者に言われた言葉が今でも記憶に残っています。

「私だったら、無理ですね」

条件と年収のギャップを見て、率直にそう言ってくれました。

突き放したわけではなく、「この条件でこの年収は、現実的には厳しい」という意味でした。でもその一言が、私の中で何かをはっきりさせてくれた気がします。

プロの目から見ても、「割に合わない」転職なんだと。


看護師の給与は「夜勤でできている」

この経験で改めて気づいたことがあります。

看護師の給与は、夜勤手当によって支えられているということです。

  • 夜勤をすれば、年収600万円台も見えてくる
  • 夜勤をやめれば、年収は一気に400万円台まで落ちる
  • 日勤専従=キャリアダウン、というのが現実

キャリアを積んできた。スキルも経験もある。でもそれは、給与には反映されません。「何ができるか」ではなく、「何時に働けるか」で年収が決まる構造です。

他の業界では、経験やスキルが評価されて転職で年収アップというケースがあります。でも看護業界では、転職は年収ダウンとセットになることが多い。日勤への移行を望めば、なおさらです。


「夜勤ができないおばさんはいらない」という空気

全体的な空気として感じていたのは、「40代の夜勤なし希望」というポジションは、どこにも需要がないということです。

若くて、夜勤もできて、どんな時間でも働ける。そういう人材が求められている。そういう働き方をしたくない、という話なのですが、選択肢の少なさには気づかされました。

そしてここで、一つの問いが生まれました。

病院という組織の中にいたから、自分には600万円の価値があった。では、組織の外に出た自分には、どんな価値があるのか。社会に対して、何ができるのか。

これは損失なのか、それとも可能性なのか。

進路を考えていたころも、同じ問いと向き合っていました。自分ができること。自分をすり減らさずに、持続可能な形で働くこと。それが何なのかを、ここから探していこうと思っています。


転職活動をして、はじめて気づいた職場の良さ

転職活動を通じて、意外な気づきがありました。

自分が働いていた病院の良さを、はじめてちゃんと見えたのです。報酬面でも、福利厚生面でも。

もし転職活動をしていなかったら、「もっと給料を上げてほしい」「もっと休みがほしい」と、ただ不満を言い続ける”クレクレ君”(与えられることばかり求めて、現状の価値に気づかない状態)になっていたかもしれません。

実は、うっすらとそのことに気づいていました。自分がクレクレ君になっているな、と。

それでも、外に出ることを選んだのは、不満があったからではありません。外に出てはじめて見える景色を、見てみたかったから。職場の外に、どんな世界が広がっているのかを、自分の目で確かめたかったから。

比べてはじめてわかることがある。動いてみてはじめて見えることがある。

これはお金の話と同じ構造だと思いました。家計を見直すまで、自分がどれだけ無駄遣いをしていたか気づかないように。転職活動をするまで、今の環境の価値に気づかない。


自分をまた安く買い叩く転職はしたくなかった

転職活動を通じて、私は一つの結論に至りました。

「自分をまた安く買い叩く転職はしない」

転職すれば、年収は200万円以上下がる。ではそのまま働き続けるか。

でも、もし無職になれば、年収は600万円のゼロになる。それもわかっていました。

数字だけ見れば、続けることが正解に見えます。でも私には、もう一つ別の「損失」が見えていました。

このままでいたら、自分が腐ってしまう。

不満というより、このままの自分でいることへの違和感。何かが少しずつ失われていく感覚。外に出て見える景色の中に、何か見出せるものがあるのではないか、という予感。

転職で年収200万ダウン。無職で年収600万ダウン。どちらも大きな損失です。でも、自分が腐っていくことの損失は、数字では測れない。

だから私は、退職という選択をしました。

転職を否定したいわけではありません。条件の合う転職先が見つかった人、今よりいい環境に移れた人は、それが正解です。転職活動をしてみないとわからなかった情報もたくさんありました。動いてみてよかったとも思っています。

そうして今、こうして記事を書いて、誰かに届けられている。それは悪くない、と思っています。


まとめ

転職するつもりで始めた転職活動で、私が学んだことはこうです。

  • 看護師の転職は、日勤移行と同時に年収が大きく下がる
  • 求人サイトのキャッチフレーズと、実際の数字は別物
  • キャリアやスキルは、夜勤の前には評価されにくい
  • 転職活動は、今の環境の価値を知るためにもなる
  • 転職活動そのものは、やって良かった

動いてみて初めて見えることがある。数字を見てから判断する。それはお金の話でも、転職の話でも、同じだと思います。


リスクを取らずに、リターンを得ることはできない。

仕事を辞めることは、ギャンブルでも博打でもありません。

辞めたってまた働いていける。好きな人生にしていくことができる。

自分を信じてあげること。自分を大切にしてあげること。

それは、今日の自分の行動にかかっている。

もっと自由に生きること。それが、私に残された人生の時間のテーマです。


転職を検討している方は、まず情報収集から始めてみてください。転職エージェントへの相談は無料です。実際の求人を見てから判断しても、遅くはありません。


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