看護師の給料と病院経営の話|現場で感じた構造の矛盾

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悩める看護師
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給料、もう少し上がらないのかな。
頑張っているのに、なんかおかしい気がする。

しおり
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私も現場でずっと感じていた疑問でした。
給料と病院経営、調べていくと全部つながっていたんです。

看護師の給料と病院経営は、診療報酬という仕組みを通じてつながっています。長年働く中でその構造に気づいたとき、給料が上がりにくい理由や、現場の苦しさの正体が少し見えてきました。

今回の記事でわかること
  • 病院経営がこれだけ苦しくなった理由
  • 看護師の給料と診療報酬のつながり
  • 給料と病院経営が抱える構造的な矛盾
  • 私が立ち止まって考えたこと

「頑張っているのに、なんかおかしい」。その感覚は、気のせいではありませんでした。

「医療職は安泰」と言われ、そう思って医療の道を選んだ

進路を考えていたころ、まわりの大人によく言われていました。

「医療職は安定している」
「資格があれば安心」

自分でも、そう信じていました。

人の役に立ちたい。そういう仕事をしたい。そう思って、医療の道を選びました。

でも、病院経営はこんなに難しい時代になっていた

新人のころは、病院の経営がどうなっているかなんて、私自身まったくわかっていませんでした。

目の前の仕事を覚えるのに精一杯で、組織のことに意識が向く余裕もなかったと思います。

年々仕事に慣れてくると、経費削減や業務改善を、日々の業務の中で意識するようになりました。

それでも、忙しさは変わらない。むしろ、業務はどんどん増えていくように感じていました。

給料は、どんどん上がるとは程遠く、少しずつ、少しずつ。ボーナスも、去年と同じくらいもらえたらラッキー、という感覚でした。

そしてここ数年は、経営不振の影響なのか、そのボーナスも少しずつ減っていきました。

何かが変わってきている。そう感じていました。

病院経営が苦しい理由は、ひとつじゃなかった

少し調べてみたら、病院経営が今これだけ厳しくなっている背景には、いくつかの要因が重なっていることがわかりました。

  • 人件費の高騰(看護師不足で給与の引き上げが必要)
  • コロナ後の病床稼働率の低下
  • 物価高による医療資材や光熱費の上昇
  • コロナ補助金の終了

しかも、診療報酬の改定が、これらのコスト増に追いついていないという構造です。

報道によると、公立病院の約4分の1がすでに経営危機に直面しているとも言われています。

「人手不足だから給料を上げたい」「でも経営が苦しくて上げられない」。その狭間で、現場は疲弊しています。

「入院を増やす」ことは「医療費が膨らむ」こと

経営を維持するためには、入院患者を増やしたり、救急を積極的に受け入れたりする必要が出てきます。

ただ、それは医療費が膨らむことと表裏一体です。

厚生労働省のデータによると、日本の国民医療費は2023年度で約48兆9,115億円。この10年間で約7兆円以上増え、約1.2倍になっています。

経営を維持しようとすることと、医療費の膨張は、切り離せない関係にあります。

自分の給料の原資は、どこから来ているのか

自分の給料は欲しいです。物価は上がっていますし、生活もあります。給料が上がってほしいというのは、ずっと本音でした。

でも同時に、こんな問いも消えませんでした。

「自分の給料の原資は、どこから来ているのだろう」

病院の収益は、診療報酬で動いています。その診療報酬の財源は、国民の保険料と税金です。

つまり、給料が上がることと、医療費の問題は、無関係ではありません。

もちろん、給料を上げてほしいと声を上げること自体は、当然の権利だと思っています。

ただ私の場合は、その声を素直に上げることが、だんだん難しくなっていきました。

これは誰かの責任ではなく、構造の問題だった

調べていくうちに、これは病院の責任でも、看護師の責任でもないとわかってきました。

いま現場で頑張っている看護師の方々が悪いわけでは、決してありません。私自身も、その中の一人でした。

少子高齢化、診療報酬制度、社会保障制度。

すべてが絡み合った、構造的な問題です。

財務省も、若年層の保険料負担を減らす必要性に触れているという話を耳にしました。根本的には、診療報酬や社会保障の仕組みそのものを見直さなければ、解決しないのだと思います。

だからこそ、私は怒りをどこか一つに向けることもできませんでした。誰かを責めても、何も解決しないからです。

退職を決めた内面の変化については、こちらにも書いています。

退職理由、正直に言えますか。私が看護師を辞めた本当の理由
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立ち止まって考えたかった

正解は、わかりませんでした。

私が退職したからといって、何かが変わるわけでもありません。それもわかっています。

働くこと、人と関わる仕事は、確かに自分の人生を充実させてくれていました。

それでも、将来を考えると、何度考えても、今の自分が納得できる答えは出ませんでした。

一度、立ち止まりたかった。

私は立ち止まることを選びました。働き続けることを選ぶ方もいます。どちらも、それぞれの選択です。

まとめ

  • 病院経営は厳しい時代になり、医療費は膨らみ続けている
  • 看護師の給料は診療報酬と結びついており、その財源は保険料と税金
  • 個人の責任ではなく、構造的な問題
  • 立ち止まることも、続けることも、どちらを選んでいい

看護師の人手不足は、いまの医療における死活問題です。私は頑張り続けることができませんでしたが、現場で踏ん張ってくださっている方々を、心から尊敬しています。

無理のない範囲で、長く続けてもらえたら、嬉しく思いますし、応援したい気持ちでいます。

自分の中の違和感や、納得できない気持ちにフタをしないこと。

私はそれを、大切にしたいと思っています。


※ 本記事は2026年5月時点の個人の体験・見解をもとに書いています。記載した数値は厚生労働省「国民医療費の概況」等を参考にしていますが、制度の詳細や最新情報は公式サイトでご確認ください。

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