「退職金、定年まで働いた方がたくさんもらえるよ?」
退職を決めたとき、こんな声が頭をよぎりませんでしたか。
「まだ20年もあるのに、もったいない」
「定年まで働けばもっと大きな退職金が出るのに」
わかります。私も同じことを考えました。
でも実際に計算してみたら、思っていたのと少し違う景色が見えてきました。今日はその話をします。
退職金の計算方法や税金のしくみについては、別の記事で詳しく書いています。よければあわせて読んでみてください。


この記事では「受け取った退職金を運用するとどうなるか」に絞って話を進めます。
私の退職金:約500万円
私は公的な病院に長年間勤めました。育休を2回取得し、合計2年ほど。
育休期間は退職金の計算上、一部短くカウントされます。2人分で実質約1年分の控除があるため、計算上の勤続年数はおよそ17年。月給30万円をもとに計算すると、退職金の目安は480〜500万円ほどになります。
3月末に退職し、退職金の通知が郵送で届いたのは4月22日のことでした。金額は約500万円。計算とほぼ一致していました。振り込みはまだこれからです。

税金は?
退職所得控除(40万円 × 18年)は720万円です。
退職金約500万円はこれを下回るので、税金はゼロ。約500万円がそのまま手元に入る予定です。
シミュレーションしてみた
この約500万円を、インデックス投資に回したらどうなるかを計算してみます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 元本 | 約500万円(一括投資) |
| 運用期間 | 25年間 |
| 想定リターン | 年率5% / 6% / 7% |
比較として、定年65歳まで働いた場合の退職金(推計約2,200万円)と並べてみます。

| 運用シナリオ | 65歳時点の金額 | 定年退職金(約2,200万)との差 |
|---|---|---|
| 年率5% | 約1,693万円 | 約507万円 下回る |
| 年率6% | 約2,146万円 | 約54万円 下回る |
| 年率7% | 約2,714万円 | 約514万円 上回る |
5〜6%では定年退職金に届きません。7%(S&P500の長期的な歴史的平均)なら逆転します。
NISAの非課税枠を使えば、この運用益にも税金がかかりません。NISAのしくみや証券口座の開き方については、こちらの記事もどうぞ。


でも私が伝えたいのは、損か得かではありません。
約500万円は、ちゃんと育てられる金額だということ。
年功序列を、逆手に取る
「年功序列」は長く働くほど退職金が増える仕組みです。一般的には「辞めるほど損になる」制度と言われます。
でも別の見方もできます。
退職金は、早くもらえば早いほど長く運用できる。
長年勤めて約500万円を受け取り、23年間運用する。これは「年功序列の恩恵を受け取ったうえで、長期運用という別の複利をかける」ことです。
年功序列のレールを降りながら、年功序列のごほうびを自分の手で育てる。
そういう発想で動いています。
定年まで働き続けた場合、退職金が増える代わりに、退職から65歳までの23年間を職場に預けることになります。
退職金の差額が300〜600万円なら、23年分の時間と健康、ストレスと比べてどうか。そこは一人ひとりが自分で計算するしかありません。
私は計算しました。そして「自分にとってはこちらの方がいい」と判断しました。
「退職金で損をした」という感覚は、今のところまったくありません。
社会人の20年の壁
ただ、正直に言うと——。

退職金の計算を勉強してから、「20年の壁」というものを知りました。
公立病院の退職金は、勤続20年を超えた瞬間に減額ルールがなくなり、19年→20年の1年だけで約114万円変わります(月給30万円の場合)。これを知っていたら、あと2年頑張っていたかもしれない。そう思わなかったと言えば嘘になります。
でも、今さら後戻りはできません。前に進んでいくのです。
そして、この「20年の壁」は退職金だけの話ではありません。雇用保険の給付日数も、勤続年数20年を境に大きく変わります。社会人として働くうえで、20年という節目はあちこちに顔を出します。私はこれを勝手に「社会人の20年の壁」と呼んでいます。
まだ在職中の方は、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。知っているだけで、選択肢が変わることがあります。
ハローワークへの初回手続きについては、こちらに書いています。

まとめ
- 私の退職金は約500万円(公的病院・18年・育休2回・月給30万)
- 退職所得控除720万円の範囲内 → 税金ゼロ
- この約500万円を23年間運用すると:
- 年率5%:約1,693万円
- 年率6%:約2,146万円
- 年率7%:約2,714万円
- 定年退職金の推計(約2,200万円)と大きく変わらない水準に育てられる
「早く辞めると損」は、思っているほど正しくない。
退職金は、受け取り方次第でちゃんと育てられます。
まずは自分の金額を計算してみるだけで、心配が少し軽くなると思います。
※本記事は2026年4月時点の一般的な情報と私個人の体験です。制度は変わることがあるため、最新の公式情報をご確認ください。投資には元本割れのリスクがあります。最終判断はご自身でお願いいたします。


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