退職金、心配しなくていい理由【シミュレーションで確かめた】

お金・家計

「退職金、定年まで働いた方がたくさんもらえるよ?」

退職を決めたとき、こんな声が頭をよぎりませんでしたか。

「まだ20年もあるのに、もったいない」
「定年まで働けばもっと大きな退職金が出るのに」

わかります。私も同じことを考えました。

でも実際に計算してみたら、思っていたのと少し違う景色が見えてきました。今日はその話をします。

退職金の計算方法や税金のしくみについては、別の記事で詳しく書いています。よければあわせて読んでみてください。

誰も教えてくれない、退職金の大事なお話【看護師・自己都合退職】
看護師が自己都合退職するとき、退職金はどう計算する?公立と私立の違い、育休の影響、勤続20年の「別格な理由」まで、ざっくり計算できるようわかりやすく解説します。
退職金に税金はかかるの?退職所得控除のしくみをわかりやすく解説
退職金に税金はかかる?公立病院で10〜20年働いた看護師の多くは、退職所得控除のおかげで税金ゼロです。計算のしくみ・申告書の提出方法・扶養への影響をわかりやすく解説します。

この記事では「受け取った退職金を運用するとどうなるか」に絞って話を進めます。


私の退職金:約500万円

私は公的な病院に長年間勤めました。育休を2回取得し、合計2年ほど。

育休期間は退職金の計算上、一部短くカウントされます。2人分で実質約1年分の控除があるため、計算上の勤続年数はおよそ17年。月給30万円をもとに計算すると、退職金の目安は480〜500万円ほどになります。

3月末に退職し、退職金の通知が郵送で届いたのは4月22日のことでした。金額は約500万円。計算とほぼ一致していました。振り込みはまだこれからです。

退職金の計算式と支給率表(公的病院・18年・育休2回)

税金は?

退職所得控除(40万円 × 18年)は720万円です。

退職金約500万円はこれを下回るので、税金はゼロ。約500万円がそのまま手元に入る予定です。


シミュレーションしてみた

この約500万円を、インデックス投資に回したらどうなるかを計算してみます。

条件 内容
元本 約500万円(一括投資)
運用期間 25年間
想定リターン 年率5% / 6% / 7%

比較として、定年65歳まで働いた場合の退職金(推計約2,200万円)と並べてみます。

退職金500万円が23年間で育っていく成長曲線グラフ
運用シナリオ 65歳時点の金額 定年退職金(約2,200万)との差
年率5% 約1,693万円 約507万円 下回る
年率6% 約2,146万円 約54万円 下回る
年率7% 約2,714万円 約514万円 上回る

5〜6%では定年退職金に届きません。7%(S&P500の長期的な歴史的平均)なら逆転します。

NISAの非課税枠を使えば、この運用益にも税金がかかりません。NISAのしくみや証券口座の開き方については、こちらの記事もどうぞ。

NISAは商品じゃない。「非課税の入れ物」だとわかった日
「NISAって言葉は聞いたことあるけど、なんだろうね?」私の周りでは、そのくらいの認識でした。詳しく知っている人もいなければ、話を聞ける機会もほとんどありませんでした。そもそも、お金の話をすること自体がタブーのような空気が...
証券口座、開くのが怖かった私が最初にやったこと
「老後のお金、どうすればいいんだろう」そう思っているのに、なかなか動けない。証券口座って難しそう、怖そう——そんなふうに感じているあなたに向けて書いています。機械音痴の私でも、スマホとYouTubeだけで開設できました。ちょっ...

でも私が伝えたいのは、損か得かではありません。

約500万円は、ちゃんと育てられる金額だということ。


年功序列を、逆手に取る

「年功序列」は長く働くほど退職金が増える仕組みです。一般的には「辞めるほど損になる」制度と言われます。

でも別の見方もできます。

退職金は、早くもらえば早いほど長く運用できる。

長年勤めて約500万円を受け取り、23年間運用する。これは「年功序列の恩恵を受け取ったうえで、長期運用という別の複利をかける」ことです。

年功序列のレールを降りながら、年功序列のごほうびを自分の手で育てる。

そういう発想で動いています。

定年まで働き続けた場合、退職金が増える代わりに、退職から65歳までの23年間を職場に預けることになります。

退職金の差額が300〜600万円なら、23年分の時間と健康、ストレスと比べてどうか。そこは一人ひとりが自分で計算するしかありません。

私は計算しました。そして「自分にとってはこちらの方がいい」と判断しました。

「退職金で損をした」という感覚は、今のところまったくありません。


社会人の20年の壁

ただ、正直に言うと——。

退職金シミュレーション棒グラフ(年率5%・6%・7%と定年退職金の比較)

退職金の計算を勉強してから、「20年の壁」というものを知りました。

公立病院の退職金は、勤続20年を超えた瞬間に減額ルールがなくなり、19年→20年の1年だけで約114万円変わります(月給30万円の場合)。これを知っていたら、あと2年頑張っていたかもしれない。そう思わなかったと言えば嘘になります。

でも、今さら後戻りはできません。前に進んでいくのです。

そして、この「20年の壁」は退職金だけの話ではありません。雇用保険の給付日数も、勤続年数20年を境に大きく変わります。社会人として働くうえで、20年という節目はあちこちに顔を出します。私はこれを勝手に「社会人の20年の壁」と呼んでいます。

まだ在職中の方は、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。知っているだけで、選択肢が変わることがあります。

ハローワークへの初回手続きについては、こちらに書いています。

ハローワーク、初めて行ってみた。離職票が届いた日にそのまま向かった話
3月31日に退職してから、ずっと待っていたものがありました。離職票です。退職翌日の4月1日にはもう、「いつ頃届きますか?」と総務課に電話で確認していました。返ってきた答えは「病院で証明してハローワークに申請後、10日前後で送付します...

まとめ

  • 私の退職金は約500万円(公的病院・18年・育休2回・月給30万)
  • 退職所得控除720万円の範囲内 → 税金ゼロ
  • この約500万円を23年間運用すると:
    • 年率5%:約1,693万円
    • 年率6%:約2,146万円
    • 年率7%:約2,714万円
  • 定年退職金の推計(約2,200万円)と大きく変わらない水準に育てられる

「早く辞めると損」は、思っているほど正しくない。
退職金は、受け取り方次第でちゃんと育てられます。
まずは自分の金額を計算してみるだけで、心配が少し軽くなると思います。


※本記事は2026年4月時点の一般的な情報と私個人の体験です。制度は変わることがあるため、最新の公式情報をご確認ください。投資には元本割れのリスクがあります。最終判断はご自身でお願いいたします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました