
頑張っているのに、なぜかいつも自分ばかり仕事が増える気がする。
これって私の問題なのかな、と思うと、だんだん疲れてきたかも。

それは、あなたの弱さじゃなくて、構造の問題だと私は思っています。
関わり方と距離の取り方は、少しずつ自分で選んでいけますよ。
頑張る人ほど仕事が集まり、断らない人ほど抱え込まされていくのは、個人の問題ではなく「構造」の問題だと思います。でも、関わり方と距離の取り方は、自分で選ぶことができます。
- なぜ頑張る人にだけ仕事が集まっていくのか、その構造
- 属人化に2つのパターンがある、という話
- インシデント対策が逆に現場を疲弊させるしくみ
- 自分を守る働き方を選んでいい、という考え方
大変な現場で踏ん張っている方に、少し違う角度から見てほしいことがあります。
大変な現場で、今日も踏ん張って働いている人たちがいます。
そのことを、私はとても尊敬しています。
人手不足、忙しさ、思うように変わらない毎日。それでも現場に立ち続けているのは、簡単なことじゃない。長年いた私にも、それはよくわかります。
今日は、そんな現場で何度も見てきた「ある構図」について、書いてみます。
仕事が、特定の人に集まっていく
看護の現場で長く働いてきて、何度も見てきたことがあります。
頑張る人のところに、仕事が集まる。
断らない人のところに、仕事が集まる。
逆に、面倒なことを上手に避ける人もいる。「こいつ、仕事したくないんだな。こっちにやらせようとしてくるな」と思うことも、実際ありました。
楽をしたい人は、すぐ頑張る人の肩に乗っかってくるんです。
そうやって大変な役割は、いつも同じ人のところへ流れていく。
「なんで自分ばっかり」と感じたこと、ある人は多いんじゃないでしょうか。
でもこれは「いい人が損をする世界」なんだろうか
最近、思うようになりました。
これは「いい人が損をする世界」というより、仕事が偏りやすい「構造」があるのだと。
その一つが、属人化です。
属人化とは、特定の人に仕事や役割が集中して、その人がいないと回らなくなってしまう状態のこと。
その部署に長年勤めている人。これまでの歴史や経緯を知っている人。
そういう人にも、仕事はどんどん集まっていきます。
「あの件は、◯◯さんに聞けばわかる」
「過去の経緯は、◯◯さんしか知らない」
そうやって、その人がいないと回らない仕組みが、自然と出来上がっていく。
属人化には、二つの顔がある
属人化には、大きく分けて二つの顔があると思っています。
ひとつは、責任感のある人に、仕事が自然と集まっていくタイプ。
本人は抱え込もうとしているわけではありません。むしろ、普通に考えれば誰にでもできるような仕事だと思っている。
でも周囲は、普段からその人に頼り切っているから、やったことがない、もしくはよくわかっていない。
だから「あの人に聞こう」「あの人に任せよう」となって、自然と仕事が押し寄せてくる。
抱え込もうとしていないのに、抱え込まされていく属人化です。
もうひとつは、これまでの経緯や情報を、自分だけのものとして抱え込むタイプ。
マニュアル化すれば誰でもできるようになる仕事を、あえて共有せず、「自分にしかわからない」状態にしておく。
そうやって、自分の価値を高く見せようとする。
そういう属人化も、現場にはあります。
抱え込まされて疲弊している人と、抱え込んで自分を守っている人。
見た目は同じ「その人がいないと回らない」でも、中身はまったく違います。
だからこそ、属人化は「個人の頑張り」や「個人の問題」として片づけるのではなく、組織として情報や仕事をどう共有するかという、仕組みの話として向き合う必要があるのだと思います。
だから、見ている上司の存在が大きい
この偏りを変えるのに、いちばん力があるのは、現場をちゃんと見ている上司の存在だと思います。
誰にどれだけの負担がかかっているか。
誰が無理を続けていて、誰が手を抜いているか。
そこを把握して、適切に仕事を散らしていける人がいるかどうかで、現場の空気は大きく変わります。
逆に、現場を見ないままルールや確認作業だけが増えていくと、現場はどんどんすり減っていきます。
インシデント対策が、現場を疲れさせることもある
たとえば、こんなことがあります。
1つのインシデントやアクシデントが起きると、対策として確認事項が増えていく。
ダブルチェック、トリプルチェック、新しい記録、新しいサイン欄。
何重にも安全策が積まれているように見えて、実は、ただスタッフの作業が増えているだけ、ということが起きてしまう。
むしろ、何重ものチェックのせいで業務が煩雑になり、本当に大事な確認に集中できなくなる。
安全のために増やしたはずのチェックが、かえって現場を危険にさらしてしまう。そんな本末転倒なことが、起きてしまうのです。
現場を安全に、動きやすく回すための方法は、本当は現場の人がいちばん知っています。
管理職だけで考えても、現場とずれる。
スタッフに「考えておいて」と丸投げしても、形にならない。
管理職とスタッフが、一緒に考える。
そのプロセスがないまま降りてくる対策は、誰も守りません。
管理と支配は、似て非なるもの
本来、管理は現場を支えるためのものだと思います。
でも、現場の実情とかけ離れた指示やルールが増えていくと、それは管理ではなく、支配に近くなる。
「変える」ことが目的になると、本来ラクになるはずの仕組みが、逆に現場を苦しめる。
そんな場面を、私は何度も見てきました。
私自身も「割に合わない」と感じていた
ここまで書いてきて、思うことがあります。
私が長く働いた現場を離れたのも、こうした構造の中にずっといたからかもしれません。
頑張っても、頑張った分だけ仕事が増える。
声を上げても、確認事項が増えるだけで、根っこは変わらない。
そして、仕事量の多い人ほど事件に巻き込まれやすく、そうでない人ほどそのリスクからも遠ざかっていく。そんな現実があります。
そういう景色をずっと見てきて、いつの間にか感じるようになっていました。
これは、割に合わないな。
辞めた今だからこそ、言葉にできることでもあります。あの中にいたときは、自分が何にすり減っているのか、うまく言葉にできませんでした。
自分を守る働き方を、選んでいい
同じ状況の中にいるときと、少し離れて見たときでは、見え方が変わります。
大変さは、確かにある。
でも、それを全部ひとりで抱え込む必要は、ないと思うのです。
環境はすぐには変わらないかもしれない。
それでも、関わり方や距離の取り方は、自分で選ぶことができます。
優しさを持ったまま、自分を守る働き方をしていい。
頑張っている人ほど、そのことを忘れないでほしいと、思っています。
最後に
あなたは、とても大変な現場で働いています。
心や体を壊す前に、「ちょっと無理しているかも」と思ったときには、必ず誰かに助けを求めてください。
上司や同僚じゃなくてもいい。
家族や友達でもいい。
必ず、あなたを助けてくれる人がそばにいます。
ひとりで抱え込まないで。どうか、ご自分を大切にしてください。
まとめ
- 頑張る人ほど仕事が集まるのは、個人ではなく「構造」の問題でもある
- 属人化には二つの顔がある。抱え込まされるタイプと、抱え込んで自分を守るタイプ
- 対策は仕組みの話。管理職とスタッフが「一緒に」考えることで現場は変わる
- 関わり方と距離の取り方は自分で選べる。無理しているかもと思ったら、誰かに助けを求めて


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