「免除申請した方がいいですか?」
退職後の国民年金について、よく聞かれることのひとつです。
制度の名前は知っていても、「自分が対象かどうか」「申請するとどうなるか」は意外とわかりにくい。そのまま申請しない人も、よく調べずに申請する人も、どちらも損をしている可能性があります。
私自身、退職後に初めてしっかり調べました。知っておけばよかったと思ったので、整理してみます。
退職すると国民年金の保険料は自分で払う
在職中は給与から自動的に引かれていた社会保険料。退職した途端、国民年金保険料は自分で払う必要があります。
ひとつ知っておきたいのが、国民年金保険料は収入に関係なく、全員一律の金額だということです。在職中の厚生年金は収入によって金額が変わりますが、国民年金は違います。無職でも、パート収入があっても、同じ金額を払います。金額は年度ごとに国が改定して決めるため、毎年少しずつ変わります。
令和7年度の保険料は月額17,510円。年間にすると約21万円です。
無職の期間が長くなるほど、この負担は重く感じます。そのときに知っておきたいのが、免除制度です。
免除制度とは
所得が一定以下の場合に、国民年金保険料の全額または一部を免除してもらえる制度です。
免除には4段階あります。
| 種類 | 月の支払額(目安) | 将来の年金額 |
|---|---|---|
| 全額免除 | 0円 | 満額の約1/2 |
| 3/4免除 | 約4,400円 | 満額の約5/8 |
| 半額免除 | 約8,800円 | 満額の約3/4 |
| 1/4免除 | 約13,200円 | 満額の約7/8 |
| 通常納付 | 17,510円 | 満額 |
免除しても「未納」にはなりません。受給資格期間にはカウントされます。ここが、単なる未納とは大きく違う点です。
誰が申請できる?所得の基準
審査の対象は本人だけではありません。配偶者と世帯主の前年所得も含まれます。
全額免除の基準は、「(扶養親族の数+1)×35万円+32万円」以内が目安です。扶養親族がいない夫婦2人世帯の場合、配偶者の所得が約102万円(年収換算で約157万円)を超えると、全額免除は難しくなります。
退職して本人の収入がゼロになっても、配偶者が会社員であれば、その収入が基準を超えて免除が受けられないケースは多いです。
まず「自分の世帯が対象になるかどうか」を確認することが、最初のステップです。
申請するメリット
今の家計負担が減る
毎月の支払いが減るか、ゼロになります。無職の期間が長くなるほど、その効果は大きくなります。
未納よりリスクが低い
未納のままでは、受給資格期間にカウントされません。障害や死亡のときに障害基礎年金・遺族基礎年金が受け取れないリスクもあります。免除は、そのリスクを回避できます。
追納で将来の年金を補える
免除期間は、原則10年以内であれば追納して年金額を増やすことができます。2年以内の追納なら加算金なし。3年目以降は加算金がつき、支払額が少し増えます。
申請するデメリット
将来の年金額が減る
免除した期間は、年金額の計算で不利になります。全額免除なら、その期間の年金は満額の約半分です。
配偶者の収入次第で対象外になる
本人の収入がゼロでも、配偶者の年収が一定以上あると審査が通らないことがあります。申請の手間をかけても受理されない可能性があります。
追納は「また後で手続きをする」手間がある
免除した期間を満額に戻したければ、10年以内に追納が必要です。今手続きを省いても、将来また別の手続きが発生します。年数が経つほど加算金がつき、支払額も増えます。「後でまとめてやればいい」は、思っている以上に面倒になりがちです。
申請すべきかどうかの判断軸
整理すると、こういう考え方になります。
免除申請を検討した方がいい場合
- 退職後の生活費に不安がある
- 配偶者の収入が低く、免除の対象になりそう
- 将来、追納できる見込みがある
退職後の生活費をどのくらい準備しておくべきか、よかったら読んでみてください。備えが十分でない場合は、免除申請で今の負担を減らすことも、ひとつの選択肢です。
通常納付を選んだ方がいい場合
- 払える余裕がある
- 配偶者の収入が高く、対象外になる可能性が高い
- 将来の年金額を減らしたくない
- 追納の手続き管理を増やしたくない
ひとつだけ気をつけてほしいのが、未納です。
未納のままでいると、受給資格期間にカウントされません。将来、老齢基礎年金を受け取るための要件(原則10年以上の加入期間)を満たせなくなるリスクがあります。また、万一のときに障害基礎年金・遺族基礎年金が受け取れなくなる可能性もあります。
払うのが難しい状況であれば、未納のままにするより免除申請をする方が、将来の選択肢を守ることにつながります。
私が申請しなかった理由
私の場合、夫が会社員で収入があるため、申請しても4分の1免除か、そもそも受理されないか、その程度だろうと見込みました。実際に申請はしていないので確かめてはいませんが、所得基準から考えるとそのくらいの水準でした。
4分の1免除で減らせる保険料は、月約4,480円。その分を後から追納する手続きをわざわざ行うことを考えると、手間に見合わないと感じました。追納が面倒だという、正直なところも理由のひとつです。将来の年金額を減らしたくないという気持ちもあり、最初から全額払う方がシンプルだという結論になりました。
支払い方法についても悩みました。よかったら読んでみてください。
まとめ
- 国民年金の免除制度は、所得が一定以下なら保険料を減額・免除できる
- 審査は本人だけでなく配偶者・世帯主の前年所得も含まれる
- 免除しても受給資格期間にはカウントされる(未納とは違う)
- 将来の年金額は免除した分だけ減る
- 配偶者の収入が高い場合、対象外になる可能性がある
- 生活防衛費に不安があるなら、免除申請で今の負担を減らすことも選択肢
- 払える状況なら通常納付が将来のリスクを減らす
- 払えない状況なら、未納より免除申請の方が将来の選択肢を守れる
※本記事は2026年4月時点の一般的な情報をまとめたものです。制度は変わることがあります。実際の手続きは最新の公式情報をご確認ください。




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