
奨学金があるから大丈夫、と言われました。
でも、なんだか素直にうなずけなくて。

私も同じでした。うなずけなかった理由を、調べながら考えてみました。
奨学金は、借金です。借りるなとは言いません。ただ我が家は、教育資金は親が出すものだと考えています。どんな仕事に就くかも決まらないうちに、返す金額だけが先に決まってしまう。その順番に、抵抗があるからです。
- 同じ「奨学金」でも、無利子と有利子はまったく別のもの
- 有利子の利子が、この5年で大きく上がっていること
- 借りるときには、いくら返すかがまだ決まっていないこと
- 我が家が、教育資金をどう考えているか
高校生のお子さんがいて、進学とお金のことを考え始めた方に読んでもらえたらと思います。
娘が、学校でそう言われて帰ってきた日
高校2年の娘が、進路の話をして帰ってきました。
学費が高いという話になったとき、奨学金を借りればいい、と言われたそうです。
言ってくれた方に悪気はなかったと思います。進学をあきらめなくていいように、道があることを教えてくれたのだと思います。
でも私は、その場で素直にうなずくことができませんでした。
なぜだろう、としばらく考えていました。そして気づきました。
奨学金は、借金です
奨学金という言葉には、やわらかい響きがあります。学びを支えてくれる制度、という印象があります。
でも、返す必要のあるものは、借金です。
名前が違うだけで、借りたお金を利子とともに返していくという中身は、住宅ローンや自動車ローンと変わりません。
そこを「奨学金だから」と軽く考えてしまうのが、私は怖いと思いました。
ひとつ、先にお伝えしておきたいことがあります。奨学金には、返さなくてよい給付型もあります。世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断されるのではなく、学ぶ意欲があれば対象になる制度です。授業料や入学金の減免と合わせて受けられます。
この記事で借金と書いているのは、返す必要のある貸与型のほうです。給付型は、条件に当てはまるなら、まず確認しておきたい制度だと思います。
同じ「奨学金」でも、無利子と有利子は別のもの
調べていて、いちばん驚いたのはここです。
日本学生支援機構の貸与型奨学金には、第一種と第二種があります。
- 第一種:無利子
- 第二種:有利子
同じ「奨学金」と呼ばれていますが、中身はまったく違います。
そして、第一種は誰でも利用できるわけではありません。学力の基準と、家計の基準があります。進学前に申し込む場合、学力の基準は高校での評定平均が5段階で3.5以上とされています。
つまり、無利子で借りられるかどうかは、申し込んでみないとわかりません。基準に届かなければ、有利子のほうになります。
「うちも借りたけど大丈夫だったよ」と話してくれる方がいます。ありがたい言葉です。ただ、その方が借りたのは無利子だったかもしれません。あるいは、利子がほとんどつかない時期だったのかもしれません。
同じ言葉で話していても、前提が違っていることがあります。
利子が、5年で11倍になっていました
有利子である第二種の利率を、公式サイトで調べてみました。利率の決め方には2種類ありますが、ここでは返済が終わるまで利率が変わらない「利率固定方式」の数字を見ていきます。
| 時期 | 利率 |
|---|---|
| 2021年4月 | 0.268% |
| 2023年4月 | 0.737% |
| 2025年4月 | 1.612% |
| 2026年6月 | 2.922% |
5年で、およそ11倍です。
上限は年3.0%と決められています。2.922%という数字は、その上限にかなり近いところまで来ています。
背景にあるのは、日本銀行の利上げです。世の中の金利が動いた結果で、奨学金だけに起きていることではありません。この状況は新聞でも取り上げられていて、返済の負担が重くなっていることが伝えられています。
240万円を借りると、いくら返すことになるのか
数字だけではわかりにくいので、計算してみました。
月5万円を4年間借りて、240万円。これを15年かけて返すとした場合です。
| 借りた時期の利率 | 返す総額 | そのうち利子 |
|---|---|---|
| 0.268%(2021年ごろ) | 約245万円 | 約5万円 |
| 2.922%(2026年) | 約297万円 | 約57万円 |
同じ240万円を借りても、利子の差は約52万円です。
数年前に借りた人の実感と、これから借りる人の現実は、ここまで違っています。
借りるときには、いくら返すかまだ決まっていない
もうひとつ、知っておきたいことがありました。
第二種の利率は、借り始めるときではなく、貸与が終わる月に決まります。
大学に入るときには、まだ利率がわかりません。4年後に卒業して、そのときの金利の状況で決まります。
報道によると、2025年3月に卒業した人と2026年3月に卒業した人とでは、返す総額に約30万円の差が出たとされています。同じように借りて、1年違うだけでこの差です。
借りるときに「これくらいなら返せそう」と考えた金額と、実際に返す金額が違ってくる。この仕組みは、あまり知られていないように思います。
返していくのは、親ではなく子どもです
奨学金を借りると、返していくのは子ども本人です。
社会に出て、働き始めて、最初の給料から返済が始まります。15年、20年と続くこともあります。
子どもが行きたいと言ったのだから、子どもが借りればいい。そういう考え方もあると思います。
でも私には、そんなに単純な話には思えません。
18歳のときに、行きたい学校を選ぶ。それは当たり前のことです。けれど同じ18歳に、これから15年20年かけて返していく借金の判断まで任せてしまうのは、少し違う気がしています。
働く前から借金を組ませる必要は、ないのではないか。そう思うのです。
働く前に、借金だけが決まっていること
私がいちばん引っかかっているのは、順番です。
18歳や22歳の時点で、どんな仕事に就くかはまだわかりません。就いてみて、思っていたのと違うと感じることもあります。続けられるかどうかも、やってみないとわかりません。
何も決まっていないのに、返す金額だけが先に決まっている。そこに抵抗を感じます。
社会に出てすぐ働き方を選べるわけではないことは、私もわかっています。看護師として働き始めたころは、選ぶという発想すらありませんでした。目の前の仕事を覚えるだけで精一杯でした。
選べるようになるのは、もっとあとです。何年か働いて、このままでいいのかなと思い始めたころ。私の場合、そう思ってから実際に辞めるまでには、さらに時間がかかりました。準備が必要だったからです。
そのときに返済が残っていたら、どうだっただろう。ときどき考えます。
返済をしながら、自分の道を進んでいる方はたくさんいます。それができないと言いたいわけではありません。ただ、始まりくらいは身軽であってほしい。親としては、そう思うのです。

我が家は、教育資金は親が出すものだと考えています
これは、我が家の考え方です。
教育資金は、親である私たちが出すもの。そう思って、準備をしてきました。
すべての家庭がそうできるわけではないことも、よくわかっています。奨学金があるから進学できた方も、たくさんいらっしゃいます。それは何も引け目に感じることではないと思います。
ただ、我が家は準備できる期間がまだ残っていました。だから、できる範囲で用意しておきたいと考えています。
具体的にどう準備してきたかは、こちらに書いています。

進路は、家族で話し合って決めたい
進学先を決めるのは子ども本人ですが、その責任を子どもだけに負わせたくないと思っています。
いくらかかるのか。いくら用意できるのか。足りない場合はどうするのか。無利子と有利子で、どれくらい違うのか。
こうしたことを家族で十分に話し合ってから決める。それが、我が家のやり方です。
奨学金を借りるなとは言いません。必要な人にとっては、進学の道を開いてくれる大切な制度です。
ただ、「奨学金があるから大丈夫」の一言で終わらせずに、中身を見てから決めたい。うなずけなかった気持ちの正体は、そこにありました。
まとめ
- 奨学金は借金。同じ名前でも、無利子の第一種と有利子の第二種はまったく別のもの
- 第二種の利率は5年で約11倍になり、上限の3.0%に近づいている
- 利率が決まるのは貸与が終わる月。借りるときには、返す総額がまだわからない
- 借りるかどうかは、家族で十分に話し合ってから決めたい
娘には、働き方を自分で選べる状態で社会に出てほしいと思っています。
そのために親ができる準備を、いまのうちにしておきたいのです。
※本記事は2026年7月時点の一般的な情報と、私個人の考えをまとめたものです。奨学金の利率・基準・手続きは時期によって変わります。試算はわかりやすさを優先した目安であり、実際の返済額とは異なります。最新の情報や個別の判断は、日本学生支援機構および進学先の学校の公式な窓口でご確認ください。

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