
もう辞めたい。でも、辞めるって言い出すのが怖い。
このまま我慢して働き続けたほうがいいのかな。

辞めたい気持ちより、辞めると伝えるほうが怖い。あの、足が止まる感じ、よく覚えています。
「辞めたい」と思うのは、甘えではありません。怖くて当たり前です。ただ、自分の心と身体を守れるのは、自分しかいません。そのうえで、辞める前にやっておきたいことが3つあります。自分の市場価値を知ることとして転職活動をしてみること、そして家族としっかり話し合っておくこと、ライフプランを立て経済的安定が確保されているか確認することです。
- 「辞めたい」のに言い出せない、その気持ちの正体
- 仕事を辞めるのが怖かった私が、何度も問い直したこと
- 辞める前にやっておきたい3つのこと
- 自分を守ることと、家族への配慮は両立できるという話
長年勤めた総合病院を辞めた私から、かつての自分と、今まさに迷っているあなたへ。これは、今の私が送るメッセージです。
30代までは頑張れた。でも、限界がきた
30代までは、なんとか頑張れていました。体力もありましたし、子育てとの両立も、どうにかこなせていたんです。
でも、子どもが大きくなると、習い事や送り迎えで、時間がどんどん溶けていきました。そこに、洗濯、掃除、食事の支度、買い物と、家事も重なります。
いちばん辛かったのは、夜勤明けです。全身の力が抜けて、何もできない。そんな自分に、嫌悪感まで覚えるようになっていました。
もう疲れた。もう限界かもしれない。そんな気持ちが、少しずつ積み重なっていきました。
辞めたいのに、言い出せなかった
退職を決める前は、「いつまでここで働くのだろう」という気持ちで過ごしていました。
辞めようと決意してからは、気持ちが変わりました。頭の中にあったのは、ただ一つ。
早く、ここから離れたい。
でも、そこから先の流れを考えると、気が重くなりました。
退職を切り出せば、きっと驚かれる。なんで辞めたいのか、理由を話さないといけない。「退職を考えています」と、自分の口で伝えなければいけない相手がいる。
その一つひとつが、煩わしくてたまりませんでした。こういう過程が何もなく退職できるならいいのに。考えるだけで、エネルギーが必要でした。
辞めたい気持ちそのものより、それを言い出すことのほうが、ずっと怖かったんです。
何より、「なんで?」と理由を聞かれるのが、嫌でした。辞めたいと口にしてしまえば、正当な理由を述べないといけません。
でも、本当の気持ちは、そのまま口にできるものではありませんでした。もう疲れた。仕事に行くことすら憂鬱だ。そんな本音を、職場で言えるわけがないんです。
ただ、退職を決めて、上司に言えば、流れは始まります。あとは、ひたすら耐えるのみです。
同じところで足が止まっている人は、きっと少なくないと思います。
実際にどう切り出すか。タイミングや伝え方、引き止めへの対処は、こちらにまとめています。

仕事を辞めるのが、人生で初めてだった
私にとって、仕事を辞めることは、人生で初めての経験でした。
就職活動らしい就職活動もしたことがない。転職も、一度もしたことがない。だから、辞めたあとの自分が、まったく想像できませんでした。
本当に生きていけるのか。その不安が、いつも心の底にありました。
ライフプランは、何度も計算しました。貯金、支出、これから必要なお金。数字を並べては、また並べ直す。そんな日が、続いていました。
中でも、いちばん自分に問いかけたのは、お金のことでした。
毎月決まってもらえる給料。夏と冬のボーナス。それがなくなることを、自分は許容できるのか。
当たり前にあったものが当たり前でなくなる。それを、自分が受け止められるかどうか。自分の心に、問いかけました。
結局、なんでもトレードオフなのだと思います。自由を得るためには、保障を手放さないといけない。両方を持ったままではいられない。そのことが、だんだん腹に落ちていきました。
そしてもう一つ、気づいたことがあります。
看護師は専門職だと言われます。でも、根本は「サラリーマン」なのだと、私は思うようになりました。組織に属して、毎月の給料とボーナスをいただく。その点では、ほかの会社員と何も変わりません。
最初は、そんなふうには思えませんでした。給料が上がらない、忙しい、報われない。心の中で、不満ばかり数えていた時期もありました。
でも、あるとき気づいたんです。自分でサラリーマンの道を選んだのに、その仕組みに文句を言っていた自分のほうが、間違っていたんだと。
不満を言うことと、自分で選び直すことは、別のことでした。
だから、問いはシンプルになりました。このまま「サラリーマン」として生きていくのか、どうか。それは、誰のせいでもなく、自分で決めることでした。
このまま我慢して働けば、定年まで働き続けることはできる。それも分かっていました。
だからこそ、わざわざ自分から辞める必要があるのか。自分に、問い直しました。
それでも、最後に残ったのは、この気持ちでした。
このままじゃ、ダメだ。
勢いで決めたわけではありません。怖さを抱えたまま、計算して、問い直して、それでも出た答えでした。
退職を決めるまでの話は、こちらに詳しく書いています。

辞める前に、やっておきたい3つのこと
怖さの正体の多くは、「先が見えないこと」だと思います。だから、辞める前に少し情報を持っておくと、気持ちがずいぶん落ち着きます。
私の経験から、やっておきたいことが3つあります。
転職活動をして、自分の市場価値を知る
今の自分が、外の世界でどう評価されるのか。それを知らないまま辞めると、不安だけが大きくなります。
市場価値を知るいちばんの方法は、実際に転職活動をしてみることです。辞めるかどうか決める前でも、転職活動はできます。
転職エージェントに相談すると、求人の相場や、自分の希望条件が、具体的に見えてきます。自分が本当はどうしたいのか、人に聞かれて初めて言葉になることもあります。

実際に動いてみると、今の職場の良さに、はじめて気づくことがあります。逆に、外の世界の現実が見えることもあります。私の場合は、日勤のみを希望すると年収が大きく下がる、という事実を数字で突きつけられました。

転職活動をして、もうひとつ気づいたことがあります。私の場合、またどこかに所属すると、休みたいときに休めない。それが、自分にとっていちばんのデメリットでした。
結局、しっくりくる転職先は見つかりませんでした。でも、やってみたからこそ、自分が何を大事にしたいのかが、はっきりしたんです。だから私は、一度退職して、本当に働きたいと思える場所を、これから探すことにしました。
家族としっかり話し合っておく
これは、私が「やっておけばよかった」と思っていることです。
夫は、仕事を辞めることを「いいよ」と言ってくれました。理由を問いただされることもなく、なんで働かないのか、お金はどうするのか、何も問い詰められませんでした。それが、何よりの救いでした。
ずっと共働きでやってきて、2馬力だった家計が1馬力になる。夫は、心細かったと思います。
逆の立場だったら、私はなんと言っていたでしょうか。問い詰めていなかったかな。壁ドンしていなかったかな。ちょっと、自信がありません。よかった、私が辞める方で。
だから今も、辞めさせてくれた夫のためにも、生活費は私が入れています。感謝しています。
ただ、それに甘えてしまった部分もあります。ライフプランの計算は、自分一人でやっていました。家族とは、ほとんど共有していませんでした。
退職してから、夫の不安や、子どもたちが感じていた不安を、感じ取りました。何も言わずに「いいよ」と言ってくれた夫も、本当は不安を抱えていたのだと思います。仕事を辞めることは、自分だけの問題ではなく、家族の暮らしにも影響します。
辞める前に、お金のことも気持ちのことも、家族と話しておけばよかった。今は、そう思っています。
ライフプランを立てて、経済的安定を確認する
辞めたあとの暮らしが続けられるのか。それを数字で確かめておくことは、心の支えになります。
収入が止まっても、当面の生活費はまかなえるか。健康保険や年金など、退職後に自分で払うお金はいくらになるか。貯金は何ヶ月もつか。ライフプランを立てて、経済的な安定が確保されているかを確認しておくと、怖さがひとつずつ、具体的な数字に変わっていきます。
特に気をつけたいのが、退職してから失業給付を受け取れるまでの期間です。自己都合で辞めた場合、7日間の待機に加えて、給付がすぐには始まらない期間があります。私の場合は、1か月ほど先でした。
その間も、税金や健康保険、年金などの支払いは続きます。収入がないのに、出ていくお金はある。そこまで見込んでおかないと、「こんなはずじゃなかった」と後悔しかねません。
ハローワークでの手続きや、給付までの流れは、こちらに書いています。

私の場合、退職前に見積もった生活費と、実際にかかったお金には違いがありました。健康保険や年金など、退職後に自分で払うお金を含めていなかったからです。その教訓を踏まえて、生活防衛費の正しい計算方法を記事にまとめています。

自分を守れるのは自分だけ。でも、自分さえよければ、ではない
辞めたいと思うほど追い詰められているなら、まず知っておいてほしいことがあります。
あなたの心と身体を守れるのは、あなたしかいません。職場は守ってくれません。我慢を続けて壊れてしまっても、誰も代わってはくれません。
看護師は、誰よりも健康の大切さを知っている仕事です。体と心を壊す前ならできることがあること。壊してしまってからでは、取り返しがつかないこと。私はそれを、看護師という職業から学びました。
だから、自分を守ることを、いちばんに考えていいんです。
ただ、ここには続きがあります。
自分を守ることは大切だけれど、「自分さえよければいい」という話ではありません。
仕事を辞めることは、家族にも影響します。だからこそ、自分を守りながら、家族への配慮もしておく。その両方を持っておくことが、結局は自分の安心にもつながると思っています。
それに、母親が機嫌よく過ごすことは、きっと子どもたちにとっても良いことだと思っています。それが正解かは、分かりません。でも、子どもは親のことを、よく見ています。
嫌そうに働く親。仕事を辞めたいと言い続けている親。仕事で疲れて、不機嫌で八つ当たりをしてしまう親。私は、そういう親にはなりたくありませんでした。
自分を守ることと、家族を大切にすることは、つながっているのだと思います。
辞めた今、感じている幸せ
こんなことを言うと、怒られるかもしれません。でも、体や心を壊してまで働かないといけないことって、あるのかなと思うんです。
頑張ることは大切です。時には、我慢が必要なときもあると思います。でも、自分の体や心を壊してまで、自分を犠牲にする必要はないんじゃないか。あるときから、そう思うようになりました。
仕事は、看護師でもいいし、ほかの業種でもいい。「ここ」しかないわけではありません。自分の居心地のいい働き方を探すのも、いいんじゃないかなと思います。
そして、今辞めてみて気づきました。「嫌なことがない」というのは、これほどまでに楽なことなんだと。働いていた頃は、思いもしませんでした。
たとえば、週末です。働いていた頃は、いつも頭のどこかで「明日から仕事だから、体力を温存しておかないと」と考えていました。今は、そんなふうに思わずに、週末を存分に楽しめます。生活の質が上がったな、と感じています。
働く環境を自分で選ぶことは、とても大切です。そして看護師であれば、その環境を選ぶことができる。私は今、そう思っています。
辞めた今、いちばん感じているのは、この「嫌なことがない毎日」の楽さです。小さなことだけれど、これが私にとっての幸せなのだと思います。
かつての自分へ、そして今のあなたへ
もし、あのころの自分に声をかけられるなら、こう言いたいです。
辞めても、どうにかなるよ。
一度きりの人生です。ずっと看護師でもいい。でも、ほかのことをしてみたくなったら、やってみてもいい。
そして、もし合わなかったら、また看護師をすればいい。
看護師の資格は、なくなりません。一度外に出ても、戻る場所はちゃんと残っています。
他の職業では分かりませんが、幸い、と言っていいのか少し迷うものの、看護師不足のおかげで、求人はたくさんあります。一度離れても、また働ける場所は、きっと見つかります。
そう思えると、最初の一歩が、少し軽くなります。
念のため、お伝えしておきたいことがあります。私は、看護師を辞めることを勧めているわけではありません。
ただ、看護師という仕事を心から嫌いになってしまう前に、少しだけ離れてみる。そういう選び方も、あっていいと思うんです。
辞めて、私がどうなったかは、こちらに書いています。

まとめ
- 「辞めたい」のに言い出せないのは、説明することの重さのせい。あなたが弱いからではない
- 怖くて当たり前。勢いではなく、何度も問い直して決めていい
- 辞める前に、転職活動で市場価値を知る・家族と話し合う・ライフプランで経済的安定を確認する
- 辞めた今、いちばんの幸せは「嫌なことがない毎日」。働く環境は自分で選んでいい
焦って決める必要はありません。迷っている時間も、大切な時間です。
そして、もししっかり準備をしたのなら、自分の判断を信じてあげてほしいと思います。じっくり考えて出した答えなら、それはきっと、あなたにとって正しい答えです。
それでも、自分の心と身体が「もう限界だ」と言っているなら、その声を、いちばん大事にしてあげてください。
※本記事は2026年6月時点の、私個人の体験と気づきをまとめたものです。退職の進め方や制度は、勤務先や状況によって異なります。手続きの詳細は、各窓口でご確認ください。


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